地球上の生命体に広く存在するポリアミンは、癌や細胞分裂などとの高い相関があることが知られてはいたが、生体への作用は不明な点が多かった。閾値以下の濃度のポリアミンでは、遺伝子発現を5倍程度促進し、閾値以上では遺伝子発現が完璧に抑制するといった、 促進と阻害という二面性があることを明らかにし、それが、ゲノムサイズDNAの高次構造のスイッチングと連動していることを解明した論文が、国際誌 PLOSE ONEに掲載されました。分化した細胞において、ゲノムDNAの遺伝子群のON/OFFのスイッチが、DNAの高次構造転移によって制御されていることを示唆するものであり、生命体の自己制御の本質に迫るものであると期待される。金村さん(M2) が第一著者。

“Opposite effect of polyamines on in vitro gene expression: Enhancement at low concentrations but inhibition at high concentrations”,Ai Kanemura, Yuko Yoshikawa, Wakao Fukuda, Kanta Tsumoto, Takahiro Kenmotsu, Kenichi Yoshikawa, PLOS ONE, 13(3) e0193595 (2018).