外部刺激に応答して運動する液滴に関する論文が国際誌Appl.Phys.Lett.にアクセプトされました:作田君(現M2)が筆頭著者、”液滴が匂い刺激を判断して正や負の走化性をしめすことを発見”

 

ガス刺激により運動する液滴:正と負の走化性

作田 浩輝 君(M2)が筆頭著者の論文が国際誌Applied Physics Letters, 108, 203703 (2016)に出版されました。

生物が示す走化性に注目して、ガスに対して同様の振る舞いを見せる液滴系を発見した。酸性であるオレイン酸のcmサイズの液滴に塩基性のアンモニアをガス刺激として与えると液滴はガス刺激から逃げる方向に運動した(負の走化性; Fig. 1)。オレイン酸とアンモニアの間で生じる酸塩基反応でオレイン酸がイオン化されることで界面活性を示し、界面張力が場所特異的に変化することで生じるマランゴニ流により運動が誘起されていると考えられる。また、塩基性のアニリン液滴と酸性の塩酸ガスによる系において液滴はガスに引き付けられる方向に運動した(正の走化性; Fig. 2)。生物の走化性を模倣するモデル系としてガス刺激を感知して運動する液滴が明らかとなった。

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Fig. 1 Negative chemotactic behavior of an oleic acid droplet floating on an aqueous solution against NH3 vapor. (a) Snapshots of an oleic acid droplet moving away from ammonia vapor. (b) Spatio-temporal diagram of droplet motion, where x=0 corresponds to the center of the droplet at the initial position. Fig. 2 Positive chemotactic behavior of an aniline droplet vs. HCl vapor. Superimposed image of the aniline droplet moving toward the HCl vapor