生体物質であるポリアミンは、原核・真核細胞問わず、遺伝子発現や細胞増殖などの生物機能に深く関わっている。しかし、ポリアミンがどのようなメカニズムで遺伝子活性を制御しているかは不明な点が多く残されている。本研究では、炭素鎖長異なる二価ポリアミン[NH3 (CH2)n NH3]^(2+) (n = 1 – 6)を用い、炭素鎖長の違いによる遺伝子活性への影響を追究した。ルシフェラーゼアッセイ法を用いたin vitroでの遺伝子発現量の測定と、原子間力顕微鏡を用いたDNA構造の観察に加え、モンテカルロシミュレーションによる理論的考察を行った。C6(n=6)は顕著に遺伝子発現活性を低下させる事などを明らかにし、それがDNA分子との相互作用の特異性に起因していることなどを明らかにした。国際誌Chemical Physics Lettersに出版された。田中さん(M2)が第一著者、New York City Univ.のShew教授との共同研究。

“Low-efficiency of Gene Expression with a Long Diamine is Attributable to the Effect on DNA Zipping”, Hiroko Tanaka, Chwen-Yang Shew, Yuko Yoshikawa, Takahiro Kenmotsu, Kenichi Yoshikawa, Chem. Phys.Lett., 745, 137253/1-6 (2020).