DNA高次構造転移に対する多価カチオン間の拮抗作用
頓宮さん(2015年度修士終了)が筆頭著者の論文が国際誌 Journal of Chemical Physics , 144, 205101 (2016)に出版されました。
蛍光顕微鏡によるDNA一分子観察の方法論を用い、ゲノムサイズDNA (T4 DNA 166 kbp)の高次構造変化を観察し、2価と3価のカチオンは、溶液中に単独で存在する場合は、DNAを凝縮させるように働くが、2価と3価が共存する場合は、お互いの寄与が競合し、DNAの凝縮を阻害することを明らかにした(Fig. 1)。また、本研究において、この多価カチオンによる競合効果について、対イオン凝縮理論に系全体の並進エントロピー利得を考慮した物理モデルを提案し(Fig. 2)、実験データの多価カチオン濃度依存性を再現できることを示した。