生体内のゲノムDNAは、ノンコーディング領域を含め、その長さが数十µmから数cmに及ぶ巨大分子であり、短鎖DNAとは物理化学的な性質が大きく異なる。本研究では、無細胞系遺伝子発現実験によって、鋳型となるDNAの鎖長が1.7 kbpから25.7kbpになると、遺伝子発現の活性が1000倍増大することを見出した。また、これは、鎖長の長いDNAがそのコンフォメーションを変化させることで、転写部位でのRNAポリメラーゼ濃度を局所的に高めるためであると考えられる。原子間力顕微鏡による発現溶液中のDNA一分子鎖観察を行うことにより、このようなメカニズムの妥当性が裏うちされた。これらをまとめた論文が国際誌Scientific Reportsより出版された。西尾君(D3)が第一著者。京都大学の佐藤慎一准教授との共同研究。