私たちの研究グループは、高分子溶液が引き起こす水/水ミクロ相分離現象に伴い生じるミクロ液滴を細胞の実空間モデリングに活用する研究を展開してきている。しかし、ミクロ液滴は、液滴同士が融合する傾向があるという問題点があった。本研究では、ガラス細管を用いることにより、細管内にサイズの揃った液滴が自律的に配列しその状態を長時間保てることを見出した。さらに、DNAや赤血球、生細胞などを加えた溶液においても、DNAや赤血球、生細胞を内包した状態で、サイズの揃ったミクロ液滴がガラス細管内に自律的に配列することも明らかにした。相分離の速度過程(spinodal decomposition)にガラス表面の境界条件をとりいれた理論計算により、実験結果を再現することにも成功している。本手法は、人工細胞作製の新規かつ有用な手法となることが期待される。これらをまとめた論文が国際誌Scientific Reportsより出版された。庄野さん(理工学研究科D1, 2020年度修士卒)と伊藤君(2020年度修士卒)が筆頭第一・第二著者、藤田さん(M2)が第三著者、作田博士(特任助教)が責任著者。