細胞からゲノムDNAを抽出する過程では、アルコール沈殿の操作を行う。ここで、アルコールの種類として2-propanol (イソプロパノール)が最も効果的であることが知られているものの、その理由は不明であった。本研究は、高感度蛍光顕微鏡による一分子観察により、この要因の解明に取り組んだ。その結果、1-propanolでは、濃度の上昇に伴い、coil-globule-coilの再帰転移が起こるのに対して、2-propanolではcoil-globuleの一段階転移となることが分かった。これにより、2-propanol水溶液中でglobuleへと転移したDNAは、coilへと再帰転移をしないため、DNAをより効率よく沈殿させることができると結論できる。国際誌Polymersに出版された。馬博士(博士研究員)が第一著者、東大の小穴准教授との共同研究。

“Marked Difference in the Conformational Transition of DNA Caused by Propanol Isomer”, Yue Ma, Yuko Yoshikawa, Hidehiro Oana and Kenichi Yoshikawa, Polymers,12, 1607 (2020).