フッ素系油の小滴の整列集団運動を発見

【研究成果のポイント】

  • フッ素系の油を水面に滴下するだけのシンプルな系
  • フッ素系油の小滴群が中心から放射状に一列に整列するように自発的に形成
  • 集団的に運動することにより二次元的(ハチの巣構造)に整列しなおす

【研究の背景】

近年、材料化学の分野において,物質の「自己組織化」に関する研究が盛んに行われています。例えば、微粒子が規則的に配列した構造体、界面活性剤が作る分子集合体の形成などは自己組織化の例ですが、これらは平衡状態すなわちエネルギー的に安定な「静的な自己組織化」です。一方、溶液の組成が周期的に変化する振動反応、自然界での魚の群泳など、自発的なリズムやパターンの形成などが時間とともに変化するような、平衡とは程遠いところ(非平衡)で発現する秩序構造は「動的な自己組織化」と呼ばれています。

自然現象の多くが非平衡的現象であるにも拘わらず、動的な自己組織化については、平衡系と比べて系が非常に複雑であるため詳細なメカニズムの解明が未だに進んでいません。当研究室でのこの研究で、新たな「動的な自己組織化」の例を提示できました。今後はできる限りシンプルな数理モデルを立てて、その機構を理解することを目的としています。

フッ素系の油=PFOB

naturec15-3