Kenichi, Yoshikawa 所属: 自己組織化科学研究センター/京都大学高等研究院特任教授/京都府立医大客員教授 TEL: E-mail: |
研究内容
物理学は、物事の背後にある理(ことわり)を明らかにすることを目的とした学問です。それゆえ、物理学の対象は、素粒子や超電導、レーザなどの分野以外に、宇宙、化学、地学、経済などほとんどの学問に及んでいます。“生命”も物理学にとって、とても大きな未開拓の領域となっています。生命科学や医学の発展の歴史をみても、これまで、物理学が大いに役立ってきていることがわかります。セントラルドグマとして知られている、DNAの二重らせん構造の発見は、今から半世紀以上前に、当時最先端の物理学の方法論であったX線回折によるDNAの散乱パターンを解析することによりなされました(ワトソン・クリック)。また、皆さんが病院に行ってみると、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波映像法、X線CT(トモグラフィー)、など様々な機器が活躍しているのがわかりますが、これらは、いずれも、物理学の研究成果を足場にして開発されたものです。
生命物理科学研究室では、“生命とは何か?”、この人類にとって長年の謎にせまることを、まずもって第一義的な研究の目標としています。具体的には、以下のような研究を行ってきています。
一言
“生命とは何か?”、この人類にとって長年の謎にせまることが、生命物理科学研究室の研究課題です。近年の、生命を構成する分子に関する研究(分子生物学や生化学)の発展により、DNAやたんぱく質などに関する情報は急速な勢いで増え続けています。生命の部品についての情報が増えてきているわけですが、部品の知識の増大することが、必ずしも生命を理解することに直結しているわけではありません。生きた細胞を分解して、それを構成する多様な分子、DNA, RNA,タンパク質、糖、脂質,などを入れ込んで、試験管でまぜてみても、生命は再生しません。すなわち、生命の理解のためには、個々の分子がいかに有機的に相互作用するなかで、自らの形を創りあげ、生きた状態を維持し、細胞分裂により、子孫を増やしていくといった動的な機能が生じているのかといった問題に迫ることが必要です。このように、生命の原理を追究する中で、生命科学や医学に貢献するような研究を進める、これが私たちの研究室のスタイルです。
なお、本研究室では剣持教授(医工学)との共同で研究を行っています。医情報・医工学の分け隔てなく、大学院生や卒業研究の学生が協力して、楽しく、生き生きと研究活動を推進しています。