DNA損傷の中でも二本鎖切断は細胞内で最も毒性が強く、ゲノムの不安定化をもたらし、がんや細胞死を引き起こすことが知られている。コーヒー、お茶、ワインや野菜に多く含まれている天然ポリフェノールのクロロゲン酸を取り上げ、一分子測定によりDNA切断抑制効果についての定量的評価行った結果、数μMレベルの低濃度でもDNAに対して顕著な保護作用を示すことを見出した。さらに、一本鎖切断がDNA鎖に沿ってランダムに起こることによって、二本鎖切断が引き起こされるといった、切断のメカニズムを明らかにしている。これらをまとめた論文が国際誌Chemistry LettersにAcceptされた。Editor’s Choice (優秀論文)に選定され、Inside Coverとしてこの論文が紹介されることになっています。小川君(M2)が第一著者、西尾博士(ドレスデン工科大学博士研究員;本研究室出身)が第二著者。