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ヒドロキシウレア(HU)はDNA合成酵素阻害剤として良く知られている抗がん剤であるが、遺伝子発現活性やDNA高次構造への直接的な作用については不明であった。本研究では無細胞系遺伝子発現に対するHUの作用を調べ、HU濃度に依存して遺伝子発現に促進/阻害の二面性効果が生じることを見出した。更に、原子間力顕微鏡とCDスペクトル解析により、HUが引き起こすDNA微細構造変化を観察したところ、HU濃度の増加に伴って、DNA二次構造は保ちつつも微細構造では部分的/全体的に捩れ構造を形成していくことを明らかにした。また、揺動散逸定理に基づき、長鎖DNA一分子の揺らぎを定量的に解析した結果、バネ定数、減衰定数がHU 2~10mMでは僅かに増加、15mMでは顕著に増加することが分かった。なお、我々の研究室ではこれまでに、アルコールの作用によるDNA鎖のバネ定数、減衰定数の顕著な増加が遺伝子発現活性の阻害を引き起こすことを報告してきている(藤野らPolymers(2023))。以上より、HUによるDNAの捩れ構造形成が、RNAポリメラーゼの接近阻害や、DNA鎖の粘弾性特性変化を引き起こすことで、遺伝子発現活性が阻害されたものと考えられる。これらをまとめた論文が国際誌Scientific ReportsにAcceptされた。本研究室で推進された研究であり、小川君(現在は遺伝研および総研大博士後期課程在学;2023年度修士卒)が第一著者、西尾博士(現在は産総研の研究員;2021年度博士後期課程修了)が第二著者、同志社大学理工学研究科の古賀教授(高分子化学研究室)との共同研究。

2024.06.13

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マイクロメートルスケールで働く運動系の開発は、体内で働くミクロロボットの開発や生物の運動の原理に迫ることにもつながり、これからの重要な研究課題となっている。一対の針状電極間に直流電位を印加するといった簡単な実験系で、固定した回転軸場を用いることなく、安定な回転運動を起こすことが可能であることを見出した。カイラル(鏡像)な羽根車構造のミクロな回転子形成することで、滑らかで安定な回転モータとして働くことを明らかにし、回転運動が電極間での渦状の流体運動で引き起こされていることを、実験・理論両面から明らかにしている。これらをまとめた論文が国際誌AIP advancesにAcceptされた。本研究室で推進された研究であり、石田君(奈良先端科学技術大学院大学M1;本研究室出身)が第一著者、鷹取博士(立命館大学 助教;本研究室出身)が第二著者、平野博士(産業技術総合研究所 健康医工学研究部門)が第三著者、山本准教授(同志社大学理工)が第四著者、大江教授(同志社大学生命医科学)が第五著者。

2023.11.16

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