コーヒー粉末を含んだ懸濁液を乾燥させると、液滴の外周に粉末が円形に集合することはよく知られており、コーヒーリング効果と呼ばれている。それに対して、懸濁液を回転盤上で乾燥させると、乾燥初期にはうねうねしたパターンが現れ、後期にはサイズがほぼ揃ったmmスケールの円形パターンが多数出現することを見出した。この円形パターンの内部はwater-richの領域となっている。回転盤上で懸濁液は周期的な加速度を印加されており、これがmmスケールで、粉末をミクロ相分離させているとして理論的な解析も行った。原理的には、コーヒー粉末に限ることなく、粉末を含有する懸濁液で一般的に生じる現象であると考えられ、今後様々な粉体を含む溶液から自己組織化パターンを形成される新たな実験手法として研究が発展することが期待される。これらをまとめた論文が国際誌Physicsに出版され、highlight論文にも選出されました。上野さん(DC)、庄野さん(M2)、小川さん(M1)が第一、第二、第三著者。

[更新日] 2021.03.02 [カテゴリー] 最新情報

ポリアミンの化学構造の違いが、DNAの高次構造や遺伝子発現活性に与える影響を、実験と理論計算の双方の視点から明らかにした論文が、国際誌Int. J. Mol. Sci.に出版されました。ポリアミンは、すべての生物種が保有しているカチオン性の生理活性物質であり、様々な細胞機能に関与していると考えられています。本研究では、ヒトなど広範な生物が保有するポリアミンであるspermineと、その構造異性体であるthermospermine(植物に多く存在)、 N 4-aminopropylespermidine(好熱菌が産生)の3種の4価ポリアミンの作用を比較検討しました。その結果、遺伝子発現の抑制とDNAの凝縮転移の双方に対して、thermospermineが最も高い効果を示すことが実験的に示されました。理論計算においても二重ラセンDNAを構成するリン酸基に対してthermospermineが最も強く相互作用することを明らかにしました。このように本研究は、ポリアミンが引き起こすDNA高次構造変化が、遺伝子発現活性に直接関係していることを明らかにしたものとして、新規性の高いものとなっています。北川君(M2)、西尾君(D2)が第一、第二著者。名古屋市立大学の樋口教授、梅澤准教授、New York City Univ.のShew教授との共同研究。

[更新日] 2021.02.27 [カテゴリー] 最新情報

グルコースとその重合体(ポリマー)であるスターチ(ポリマー)の混合水溶液を乾燥させると、“ひび割れ”や“平面の層状剥離”、更には、“均質”な状態へと、グルコース含有量の増大に伴い、得られるパターンが転移することを見出した。水溶液表面からの水の蒸発に伴い、グルコースや水が“負の拡散”を示すことがこのような転移現象に関与していると考え、現象論的非線形拡散方程式を考案し、この数理モデルによりメカニズムの議論を行った。このような実験と理論を統合した論文が、国際誌Chemistry Lettersに採択されました。馬場さん(D2)、吉岡さん(2016年度卒業)、鷹取さん(博士研究員)が第一、第二、第三筆頭著者、生命医科学部大江洋平教授との共同研究。

[更新日] 2021.02.15 [カテゴリー] 最新情報

生物の細胞内液において、カリウム(K)の含有量がナトリウム(Na)に比べてはるかに多いという事実は広く知られているが、その明確な理由は未だ明らかとなっていない。本研究では無細胞系遺伝子発現に対して、スペルミジン(SPD;細胞に存在するポリアミン)存在下、 K+が著しく遺伝子発現を促進し、その効果はNa+よりも大きいことを見出した。更に、Na+はK+よりもDNAへの結合力が高く、Na+はSPDのDNAに対する結合をより強く阻害することを実験的に明らかにした。これより、SPDはK+が豊富な条件においてDNAに有利に結合し、遺伝子発現活性を強く促進させていると推論される。地球上の生命の起源の謎解きのヒントにもなるような研究成果であると考えられる。これらをまとめた論文が国際誌PLOS ONEより出版された。西尾君(D2)が第一著者、杉野君(2018年度卒業生)が第二著者。本学理工学部の松本道明教授、生命医科学部の大江洋平教授との共同研究。

[更新日] 2020.08.27 [カテゴリー] 最新情報

光による物体搬送についての研究は数多いが、同一の光源と同一の溶液条件で運動方向を反転させることは残された課題であり、mmサイズの物体の運動方向を自由に制御することができるような実験手法は未発達であった。本研究では、金ナノ粒子水溶液に側面からレーザを照射することによりcmスケールの一方向の流れを生成でき、レーザの入射角をわずかに変化させるだけで液体流の進行方向を順・逆スイッチングできることを発見した。さらに応用として、生成した液体流により、気水界面に浮かべたmmサイズの物体を順・逆方向に繰り返し搬送可能であることも明らかにした。これらをまとめた論文が、国際誌Applied Physics Lettersに採択された。庄野さん(M2)が第一著者、鷹取博士(博士研究員)が第二著者、Universidad de SevillaのJose博士との共同研究。

[更新日] 2020.08.06 [カテゴリー] 最新情報

細胞からゲノムDNAを抽出する過程では、アルコール沈殿の操作を行う。ここで、アルコールの種類として2-propanol (イソプロパノール)が最も効果的であることが知られているものの、その理由は不明であった。本研究は、高感度蛍光顕微鏡による一分子観察により、この要因の解明に取り組んだ。その結果、1-propanolでは、濃度の上昇に伴い、coil-globule-coilの再帰転移が起こるのに対して、2-propanolではcoil-globuleの一段階転移となることが分かった。これにより、2-propanol水溶液中でglobuleへと転移したDNAは、coilへと再帰転移をしないため、DNAをより効率よく沈殿させることができると結論できる。国際誌Polymersに出版された。馬博士(博士研究員)が第一著者、東大の小穴准教授との共同研究。

[更新日] 2020.07.20 [カテゴリー] 最新情報

二種類の水溶性高分子のミクロ相分離条件下でDNAとリン脂質を共存させた溶液を振り混ぜると,内部にDNAを取り込みリン脂質膜に囲まれた細胞様の構造が自発的に生成することを発見した.高分子のdepletion効果によりミクロ液滴の内部にDNAやアクチンが局在することを本研究室から報告しているが,本研究はその発展版である.国際誌ChemBioChemに採択.Very Important Paper (VIP)に選定.作田博士(特任助教),藤田さん(M1)が第一,第二著者.瀧口博士(名古屋大),湊元博士(三重大),林博士(法政大),濵田博士(北陸先端科学技術大学院大)らとの共同研究.

[更新日] 2020.07.18 [カテゴリー] 最新情報

生体物質であるポリアミンは、原核・真核細胞問わず、遺伝子発現や細胞増殖などの生物機能に深く関わっている。しかし、ポリアミンがどのようなメカニズムで遺伝子活性を制御しているかは不明な点が多く残されている。本研究では、炭素鎖長異なる二価ポリアミン[NH3 (CH2)n NH3]^(2+) (n = 1 – 6)を用い、炭素鎖長の違いによる遺伝子活性への影響を追究した。ルシフェラーゼアッセイ法を用いたin vitroでの遺伝子発現量の測定と、原子間力顕微鏡を用いたDNA構造の観察に加え、モンテカルロシミュレーションによる理論的考察を行った。C6(n=6)は顕著に遺伝子発現活性を低下させる事などを明らかにし、それがDNA分子との相互作用の特異性に起因していることなどを明らかにした。国際誌Chemical Physics Lettersに出版された。田中さん(M2)が第一著者、New York City Univ.のShew教授との共同研究。

[更新日] 2020.02.22 [カテゴリー] 最新情報

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